なゆひにボドゲ雑記

ボードゲームについてのあれこれの雑記です。

アンダーカバー2 (Heimlich & Co) 感想

1986年のドイツ年間ゲーム大賞の作品です。

1986年ということは30年以上前の作品ですね。

コマの大きさやシンプルなルールに時代を感じましたが、″面白さ″は不変だということを改めて思わされました。
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概要

正体隠匿系すごろくゲーム。

珍しいジャンルの組み合わせですが、最近では『命の砂時計』がありますね。

まずはカードが配られるので他のプレイヤーに見られないように、こっそりとカードを確認して自分が担当する色を確認します。
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カードを伏せたらスタートプレイヤーからダイスを振ってコマを動かします。

動かすコマは自分以外のコマも自由に動かせます。またダイスの出目の値だけ、どのコマでもマスを進めることができます。

例:ダイスの出目が6だった場合、青を3マス、赤を2マス、黄色を1マスと動かすことができる。

またダイスの出目には″1~3″と書かれた出目があり、1~3までの任意の数だけコマを動かせます。
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ボードのマスには-3から10点までの得点が書かれており、いずれかのコマが金庫のトークンが置かれたマスに止まったタイミングで、全コマが今いるマスの得点を得ます。
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 得点が41点以上になったコマと同じ色のプレイヤーの勝利となります。

まとめ

評価:B

自分の正体がバレないように、適当にごまかしながら自分のコマが高得点を得られるように動かすのですが、そこはかとない緊張感がとても良いプレイ感を出しています。

また自分のコマが叩かれないように全体的にまんべんなく動かさなければならないのも良いジレンマです。

他のプレイヤーのターン中も、会話で場の流れを誘導したりブラフゲームの要素もあってゲーム中は膠着することなく楽しめます。

個人的嗜好で、もっと複雑で重めなゲームが好きなので評価は厳しめにBと低めですが、一般的に良いゲームだと思います。

初心者や子供などライトユーザーに向いてますが、ヘビーゲーマーでもスタートアップや重ゲーの合間などメインではないけれど汎用性の高いゲームとして重宝しそうです。

ボードゲーム体験会in秋葉原イエサブ

ちょっと時間があったので昼飯を食べるついでにゲームの体験会にいってきました。

今回は特に大きなイベントの前後でもなく、新作もなかったためか、人がまばらで一緒にプレイする人数が集まらないから試遊ができない感じで少し寂しかったです。

今回遊んだゲーム

  • ねこのきょうだいのひっこしやさん
  • 変幻怪盗J ~ファントムダイヤの秘密~
  • ケモノポリス

ねこのきょうだいのひっこしやさん

指を1つだけ使って駒を柱と柱の隙間から取り出すゲーム。
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駒が柱にぶつかったり指が離れてしまうと駒を出せずにターン終了になってしまう。

特に戦略や運はなく、ただ器用さが求められる。

とはいえ大人には簡単すぎるかな。

パッケージやコンポーネントのアートワークを見る限り子供むけのようだし、未就学児ぐらいにはちょうど良い難しさなのかも。

変幻怪盗J ~ファントムダイヤの秘密~

10分程度であそべるお手軽な正体隠匿ゲーム。
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最初に配られる手札にて、怪盗が一人、残りが警察の役が割り振られ、怪盗・警察それぞれが異なる勝利となる札を手に入れられたら勝利となる。

勝利するためには、誰が怪盗なのか正体を推理するだけではなく、自分の手番のタイミングに自分が勝利できる状況を作らねばならないのだけど、ここの運要素が高い。

3人プレイで2回ほど遊ばせてもらったが、3人だったからか他のプレイヤーの正体は直ぐにわかってしまい、あとは自分が勝利札を手にできる状況で自分の手番が回ってくるだけのゲームになってしまった。場のコントロールがもう少しできると戦略がでてきそうな気もする。

このゲームはおそらく4人以上で遊んだほうが面白いと思うので、機会があれば4,5人でやってから改めて評価をしたいかな。

ケモノポリス

これは面白かったです。

プレイ感は『バトルライン』『ペンギンパーティー』を足した感じ。
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街の支配を狙って犬軍勢と猫軍勢に分かれて手札から猫カード、犬カードを配置。

横一列でポイントの多かった軍勢が勝利して勝利点を得る。

各横列ごとで勝利点が違うため、勝利点の高いところで自分の軍勢を有利に配置し、勝利点がマイナスの所には相手の軍勢を配置していかなければいけない。また手札には自分の軍勢だけではなく、敵の軍勢のカードや第3勢力である羊のカードもあるため、全部の手札を最適に配置するには、なかなか奥深い戦略が必要となる。

一回しかプレイしていないので理解が浅いと思いますが、充分に面白さが理解できました。

正直アートワークは好みでないのが残念だけど、パーティーゲームの次にやるのにちょうどいい難易度で利用シーンは多いゲームだと思います。

ボードゲームの評価について

このblogを始めてまだ一年も経っていませんが、その間にもいくつもの新しいゲームを買うか悩み、買っては遊ぶと繰り返しています。

その結果、ボードゲームが増え、収納の問題にぶち当たりました。これは通過儀礼というかボードゲーマーの通るべき道なんでしょう。むしろ、ようやくここまで来たか、と。(笑)

とにかく不要なものを捨て、今は何とか収納できたけれども、今後はしまうことも考えて購入しなければならんぞ、と思った次第です。だけどそれでも欲しいものはやっぱり欲しい!

しかも今までは安価でスペースの取らない国産のカードゲームを主に集めていましたが、最近はより深いものを求めるようになり、海外の作品に手を伸ばしていたので、箱が大きいものが多く更に収納の問題に…。

そこで今年の夏に行われるボードゲームフリーマーケットに友達と一緒に出店(予定)することもあり「あまり遊ばないものは手放そう」と手持ちのゲームを厳選することになりました。

そこで自分が手元に持っておきたいボードゲームの基準は何だろうか?と改めて考えてみたところ「ゲームしたあとで、またやりたい!」と思うかどうかが基準だと気がつきました。

買ったゲームの中には「1回遊んでみてそこそこ面白かったけど、もう良いかな」と思うことや、色々新作が出て試したいなかで「またやりたい!」と思う事は、重要だと思っています。

それだけ面白いというのはもちろんのこと、ゲームの奥深さの表れであったり、オリジナリティがある証拠だと言えると思います。

もちろんこれだけが判断基準じゃないのですが、今後はどれだけ「またやりたい!」と思うかも評価基準にしていこうかと思います。

ヒット・ザ・ロード 感想

前から遊びたかった『ヒット・ザ・ロード』がようやく遊べたので感想を書きます。
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概要

ゾンビが蔓延したアメリカ。シカゴからLAを目指して、ゾンビに襲われながらも旅をする8日間のロードムービー的なゲームです。

何よりテーマが良い!ゾンビ映画好きには堪らないテーマ性!コンポーネントがどこか古ぼけたような非常に味のあるデザインで世界観へのこだわりを強く感じます。

もうゾンビ好きならそれだけで買って損がないゲームだと思います。

ルール説明

競り』『ダイス』『リソース管理』といくつかのゲームシステムが含まれていますが、中心は『競り』のゲームです。

LAに向かうルートが4つあり、それぞれ道中で起きる出来事が2枚のカードに書かれています。

カードには『ガソリン』『銃弾』『アドレナリン』と旅で役立つトークンや勝利点が手に入る出来事もありますが、大抵ゾンビに襲われたり、ろくでもない出来事ばかりが書かれています。

その4つのルートから″まだましな″ルートを選びたいのですが、選び方は競りを行って一番多くのコスト(任意のトークン)を支払ったプレイヤーから選ぶことが出来ます。

ましなルートを選びたいけど、競りでトークンを失うと、来るべきゾンビとの戦いで不利になるし…というジレンマが醍醐味です。

全員が競りをして選ぶ順番が決まったら最初のプレイヤーから選んだルートのカードに書かれた出来事を処理します。

ゾンビが出た場合はダイスを振って解決します。

ダイスには大まかに照準マーク、ゾンビマーク、アドレナリンマーク、マークなし(空白)の四種類で構成されています。

まずは狙撃フェイズ。銃弾トークンを1枚支払うごとにダイスを2個振って照準マークが出た数だけ倒すことができます。

狙撃で倒しきれなかったら自分の生存者トークンの数だけのダイスを振ります。

照準マークの出目の数だけゾンビを倒せますが、ゾンビの出目が出ると自分の生存者が減ります。ただしアドレナリンを支払うことで回避ができます。

細かくは他にも色々あるのですが、だいたいはこんな感じで進めます。

ゲームは1日=1ターンで、合計8日すなわち8ターン行います。

8ターン目まで生き残り勝利点が一番多かったプレイヤーの勝利となりますが、結構死にます。というよりかなり死にます。

なので勝利点は個人的にはおまけ程度ととらえて、生き残るだけでも充分勝利感が味わえました。
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まとめ

評価:A

個人的な好みも込みでAにしました。

常にピンチな状況に置かれる程よいストレスがテーマを上手く再現しており、また美しいデザインワークも強いこだわりが感じられて、とても上質なゲームだと思います。

もちろんゲームとして『競り』『ダイス』『リソース管理』と複合的に絡むジレンマで程よく頭を使いつつ、いざとなったら運で道を切り開く事もできる完成度の高いシステムです。

一方でその場の状況や先の見通しは必要なものの、戦略性はそこまで高くないため所謂″重いボードゲーム″を期待している人には物足りないかもしれません。

チェックポイント チャーリーの捜査犬(CHECKPOINT CHARIE) 感想

ようやく『チェックポイント チャーリーの捜査犬』を遊ぶことができたので感想を書きます。
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概要

時代は1960年代、冷戦による緊張感が漂う国境の検問所『チェックポイントチャーリー』を見張っている捜査犬となって、検問所をすり抜けようとしているスパイ猫を見つけ出します。

ルール説明

スパイは『帽子をかぶっている・かぶっていない』『グラサンをかけている・かけていない』『コートを着ている・着ていない』『新聞を抱えている・抱えていない』『毛色がグレー・茶とら』の相反する5種類の特徴があります。

捜査犬は、1人1つだけヒントのチップを受け取ります。

 【例:グラサンのヒント】
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その後、容疑者のカードを一枚めくります。書かれている猫のキャラクターを見て、自分の知っているヒントと合っていたら″容疑者″として場に並べ、合っていなかったら捨て札山に置きます。

それを繰り返していくと誰がどのヒントを知っているのかが推測出来るようになり、「こいつがスパイ猫だ!」と思うカードが場に出たら自分の捜査犬チップを乗せて告発することができます。告発は1人1回だけです。

5種類全てのヒントが合ったスパイは″チーフスパイ″、4種類のヒントが合っていれば″アシスタントスパイ″として得点に結び付きます。

ただし容疑者を告発できるのは早い者勝ちで、一人だけ告発することができません。

外れたもしくは答えられなかった場合はマイナスの黒い得点チップを受け取る事になるため、完全にヒントがわかっていなくても告発することも大切です。

得点が10点以上になる、もしくは5ラウンド終わる、得点チップのいずれかが尽きたらゲームが終了です。一番得点の高かったプレイヤーの勝利となります。

まとめ

評価:C+

個人的にはシンプル過ぎて評価はCとしましたが、ルールも簡単でちょっとした合間に気軽にやるには良いゲームだと思います。

またキャラクターやアートワークもおしゃれなのも良いですね。

推理と情報の整理と百人一首のような反射神経が求められますが、全員が告発できないためタイミングを見切る心理戦の要素もあります。

また特徴が5種類もあると想像以上に認知負荷が高くて判断に苦労しました。

とはいえ子供でも充分に楽しめるゲームだと思うので家族とワイワイやるには良いゲームだと思います。

ふたつの街の物語 感想

概要

プレイヤーは都市プランナーとなり左右のプレイヤーと協力して街を作ります。

左右の街で低い方の点数が点数になります。

そのため左右どちらも素敵な街にする必要があります。

箱絵や『ふたつの街の物語』という名前から中世の都市間の貿易ゲームを彷彿とさせますが、実際は工場やオフィスなどもあるシンプルなSimCityのようなゲームです。

ルール説明

ゲームは全部で3ラウンドあります。

1ラウンド目ではまず全プレイヤーが都市タイルを7枚取ります。

都市カードは『商店(黄)』『工場(灰)』『酒場(赤)』『オフィス(青)』『公園(緑)』『住居(茶)』の6種類あります。

手札の中から2枚を選んで場に伏せます。

全員が都市タイルを場に伏せ終えたら一斉にオープンします。左右のプレイヤーと相談して出した都市タイルを組み合わせて都市を作っていきます。ゲーム終了時に都市は4×4マスの正方形の形になります。

最後に使わなかった都市タイルを左隣のプレイヤーに回します。右隣のプレイヤーから受け取ったら、都市タイルが1枚になるまで同じ事を繰り返します。

都市タイルが1枚になったら1ラウンドが終了です。

2ラウンド目は都市タイルの代わりに、都市タイル二つ分の大きさの二重都市タイルを3枚取って2枚を選びます。1ラウンド目と同様に左右のプレイヤーと相談して都市に設置します。2ラウンド目は3枚しか取っていないので、使わなかった1枚は回さずに捨て札にします。

最後の3ラウンド目はほとんど1ラウンド目と一緒ですが、使わなかった都市タイルは右に回します。

3ラウンドが終了すると4×4マスの正方形の都市が出来上がり得点を計算します。

得点計算

得点計算の元になる役はカードに記載されており、いつでも見ながら都市タイルを配置することができます。
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商店(黄)

商店は縦横どちらでも直線に並ぶことで得点になります。長く並ぶことでより高い得点を得られます。最長4枚で16点得られます。

工場(灰)

工場の数×工場の多い順で決まる倍率で得点を計算します。1位は4倍、2位は3倍、3位は2倍になります。例えば工場が3つで他の都市と比べて一番多くの工場があれば、3×4で12得点となります。

酒場(赤)

酒場には4種類のマークがあり、多くの種類を揃えると得点になります。4種類全部集めると17点になります。

オフィス(青)

枚数が多いとより多くの得点が貰えます。最大6枚で21点です。さらにオフィスは酒場と隣接していた数だけ追加で1点ずつボーナスが貰えます。

公園(緑)

一辺でも隣接して繋がっている公園の枚数によって得点になります。1つだけの場合は2点、2つは8点、3つは12点となり以降は増えた数だけ1点ずつ追加していきます。

住居(茶)

住居は工場に隣接していると1枚1点です。

工場と隣接していない場合は、住居の得点はその都市に設置されている住居以外のタイルの種類数になります。

まとめ

評価:A-

個人戦なのに左右とは協力という複雑な関係性が独特です。

勝敗よりも街を作るのが楽しいかったり。一度やれば他の人にも説明ができるシンプルなルールと1プレイ30分ぐらいでできる軽さも良いですね。プレイ人数も7名までできる幅広さもあって遊ぶシーンは多そうです。

左右の街で低い得点の方が自分の点になるといところはよく考えられていますね。このルールがあるから左右両方ともバランスよく育てる必要が出てきて、ゲームに深みが出てます。

難点を言うのであれば個人的な勝敗が薄くなるので競技性が弱いところでしょうか。

とはいえゲームのプレイ自体が楽しいのでこれはこれで充分かと!

『ボードゲームのいろはにほへと』感想

去年のゲームマーケットで買ってからちょこちょこ読んでいたものの、ちゃんと通して読むことができていなかったので、年末年始で読み直しました。

これは本当に良い本です。

ボードゲームはなかなか体系的な資料が少ないので、ゲームデザインに興味がある人には特にお勧めします。

この本は上巻と下巻の2冊構成でできていて結構なボリュームです(各200ページ強)。

上巻は草場純さん・沢田大樹さんによるボードゲームの歴史から始まり、有名デザイナーのカナイセイジさん・川崎晋さん・梶尾忠英さんによるゲームデザインやアイデア発想法について。

下巻は建部伸明さんによる世界のボードゲーム市場について、渡辺範明さんによるボードゲームの企画について、萬印堂さんによる印刷所からみるボードゲーム、小野卓也さんによるジャーナリストから見た日本のボードゲームのこれから、となっています。

歴史から実践的なゲームデザインについて、またマーケットやマーケティングまで幅広く書かれていてとても実用的です。

ゲームデザインについては個人的には物足りなさもありましたが、デザインの基本は抑えられていて初学者には非常に良いかと思います。

個人的に良かった内容として、印刷所の話やマーケットの話は、ゲームデザインの先にある”ゲームを売る”という事の現実的な側面を語ってくれており、とても貴重でためになりました。

この本は時々手を取って読み返したくな